自分が金属アレルギーではないかと思ったことがある方は少なくないのではないでしょうか?
近年では増加傾向にあり、現在日本人の12人に1人は金属アレルギーまたはその予備軍だと言われています。
ピアスやその他のアクセサリーを使うと赤くなってしまう、被れてしまう。
- 手や足に水ぶくれや湿疹ができてしまっている
- 金属のボタンが当たるところが赤くなってしまっている
これらは金属アレルギーの症状だとわかると思います。
ですが、
- 口内炎がよくできる、なかなか治らない
- 歯科治療を行ってから調子が悪い
- お口の中の金属の周りが白っぽいまたは、赤くなっている
一見、金属アレルギーとは関係のないようにも見えますが、実はこれらも金属アレルギーの症状で出る場合があります。
上記の症状が出ている方で原因がわからないという方、お口の中に金属は入っていませんか?
虫歯ができてしまって治療をする際に保険治療で行うと、金属の詰め物や被せものをすることになると思います。
実はそれが金属アレルギーの原因となる場合があるのです。
しかも、お口の中の金属が原因だとしても症状が現れるのは、お口の中の場合もありますが、全然関係のない手や足に出る場合もあります。
なぜお口の中の金属で、手や足に症状が出てしまうのでしょうか?
また、金属アレルギーの場合はどういった対処法があるのでしょうか?
お口の中の金属をなくすことによって体調が良くなる場合があります。
悩んでいる場合はぜひ読んでみてください。
最初に、歯科治療の金属について説明していきます。
歯科で使う金属は、保険診療と自費診療で使うものがあります。
特に保険診療で使うものですが、保険診療で使っている金属はあまり材質がいいものではありません。
保険診療で現在、一番使われているものが金銀パラジウム合金という素材なのですが、これは金、銀、銅、スズ、パラジウム、亜鉛など様々な種類の金属が混ざって入っています。
これは、強度は強いので一番使われているのですが、劣化しやすいというデメリットがあります。
特にお口の中は常に唾液がある状態です。
金属は水分があるところでは金属イオンとなるため、金属が少しづつ溶け出してしまいます。それを飲んでしまうことによって身体の中に入り、身体の中のタンパク質と結合します。それによってアレルギーの原因となるタンパク質のアレルゲンに変質します。
アレルゲンは身体にとっては異物なので、身体を守ろうとするために過剰な反応をします。これが金属アレルギーの症状として出てしまうのです。
そのため、口の中で金属が触れている部分に症状がでることもあれば、体内から汗でアレルゲンが出ることによって口の中以外でも症状が出てしまうこともあります。
そして徐々に劣化していくにつれて体内に蓄積し、今まではなんともなかったのに急に症状が出てしまったりすることもあるのです。
症状として、お口の中では金属に触れている部分が赤や白になって腫れる、ただれる、他にも口内炎や歯肉炎、舌炎などがあります。
お口の中以外だと、一番出やすいのは手足で水ぶくれができてしまったり、全身に湿疹が出てしまったりすることもあります。
特に金属アレルギーの原因になりやすい材質はアマルガム(水銀)、ニッケル、コバルト、パラジウムとなります。
金属アレルギーは人によって症状が違っていたり、また、反応する金属の種類も人によって様々です。
それを事前に調べる方法があります。
まず、最も代表的なものはパッチテストです。
背中に金属を含ませた試薬を貼ります。2日後にそれを剥がし皮膚の反応をみます。その後も、貼ってから3日後と7日後に反応をみるので、合計4回通うこととなります。
検査する種類は場所によりますが、15〜20種類の金属を検査するところが多いです。
他に血液検査もあります。
一般的なものでは、lgE(免疫グロブリンE)という血中に含まれる物質を調べます。
この数値は花粉症やアトピー性皮膚炎などの人に高い数値が出ます。
ただ、金属アレルギーの場合は必ずしも高い数値が出るとは限りません。
そのため、パッチテストも行うか、保険が効かない検査で「リンパ球幼若化試験」というものがあります。血液の中からリンパ球を取り出し、試験管の中で金属成分とのアレルギー反応をみるといった検査です。
パッチテストなどで、どの金属に反応するか分かった場合、その金属がお口の中のどこに存在するのかを調べる検査方法もあり、それを金属成分分析検査といいます。
見た目だけではどの種類の金属を使っているか分からないため、お口の中に入っている金属の表面を少し削り、その粉末を蛍光エックス線分析装置にて分析することができます。
このように検査をして事前に分かっていればその種類のものを避けることができ、また、金属成分分析検査をすることによって、お口の中に入っていても無駄な治療をせずに除去することができます。
もし気になっているようであれば、皮膚科やアレルギー科などで検査することができるのでぜひ行ってみてください。