世の中にはさまざまな病気がありますが、歯周病はいまや国民病とも呼ばれるほど日本での罹患率が高い病気です。
しかし、「罹って当然」の病気ではありません。
少し気をつけるだけで、歯周病は予防することができます。
日本人の歯周病罹患率はなぜ高いのでしょうか?
それは、日本人にとって、歯科は「悪くなった歯を治しに行くところ」であり、「おくちの中の健康を保つところ」ではないからです。
むし歯を治療したり、歯周病を治療したり、失った歯を補ったりと、日本ではまだまだ歯科は「治療する」イメージが強いといえます。
歯科先進国では、予防歯科という考えが浸透しているため、むし歯予防や歯周病予防など、「悪くなる前に」歯科を受診しているのです。
「みんなが罹っているなら大丈夫」と放っておくことはおすすめできません。
歯周病が進行することで、生活にさまざまな影響をもたらします。
歯周病で最も有名なのは、「歯を失う原因になる」ということですが、歯を失うとどのような変化が起こるでしょうか。
わかりやすい変化として、前歯であれば見た目の問題もでてきますし、奥歯であれば食べ物が噛みにくくなったり、食いしばって力を入れることが難しくなったりします。
失った歯は、技術の進歩によりさまざまな方法で補うことができますが、どんなにお金をかけても、天然の歯よりも優れたものは存在しません。
「お金で買えない価値がある」と言ってしまってもいいかもしれませんね!
ちなみに、歯が抜けたままにしておくと周りの歯が移動したり倒れたりして、噛み合わせがどんどん変わってしまいます。
ひどくなるとうまく噛めなくなってしまうこともあるので、注意しましょう。
歯周病は、全身にも影響を及ぼします。
歯周病菌は、おくち以外の場所でも活動し、影響を与えるのです。
血管の中に入り込んだ歯周病菌は、血液に運ばれ全身に移動することができます。
心筋梗塞や脳梗塞といった病気はご存じでしょうか。
歯周病菌は動脈硬化を引き起こしたり、血栓を作りやすくしたりするため、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高くする、という研究結果がでています。
さらに、糖尿病との深い関わりも明らかになってきました。
糖尿病の人は歯周病になりやすく、歯周病の人は糖尿病になりやすい、というのです。
お互い影響を及ぼす関係といわれており、糖尿病の人の歯周病を治療すると、糖尿病の数値も改善する、という報告もあります。
その他、これから出産を考えている方も歯周病に要注意です。
歯周病に罹っている人は、ホルモンバランスの影響で妊娠中に歯周病が進行しやすくなります。
また、歯周病菌の出す毒素により、早産や低体重児出産のリスクが上がるとされています。
定期検診は、おくちの状態が落ち着いていれば、半年に一度診てもらう程度でも良いでしょう。
むし歯や歯周病が進行してしまってから歯科で治療するよりも、早期発見、早期治療を行うことで、治療にかかる時間もコストもリスクも抑えることができます。
まずは、今のおくちの状態を知るためにも、歯科を受診してみましょう!