タバコに含まれる3大物質は「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」です。
その他、4000種類以上の化学物質、200種類以上の有害物質が含まれています。
身体に悪いといわれるタバコは、口腔内の健康にも影響を与えます。
今回はそんな「百害あって一利なしのタバコが与える口腔内の影響」について解説します。
喫煙による口腔内の影響
喫煙による口腔内への影響は、歯の黄ばみやヤニ、口臭だけではありません。
虫歯や歯周病はもちろん、歯肉の黒ずみや口腔がんのリスクも高めます。
虫歯
タバコと虫歯はあまりが関係ないように思われるかもしれませんが、タバコに含まれるタールは、唾液の分泌を抑えます。
唾液の役割の一つには、歯面を保護する役割があります。
タールによって唾液が減ることで、口腔内の細菌が繁殖しやすくなり、虫歯のリスクが高まるのです。
さらに、タールはヤニの原因にもなるため、歯面にプラークや歯石が付着しやすくなります。
歯肉の黒ずみ
喫煙をしている方の歯肉の黒ずみが気になったことはないでしょうか?
歯肉の黒ずみの原因は、タバコの有害物質から守ろうとしてメラニン色素が作られるためです。
メラニン色素の働きはビタミンCによって抑制されますが、喫煙することで体内のビタミンCは大量に消費されてしまいます。
タバコ一本で、1日に必要な25mgから100mgものビタミンCが消費されるといわれています。
また、ニコチンによる血管収縮作用で血流が悪くなっていることも歯肉の黒ずみの原因の一つです。
喫煙をしていない方でも、受動喫煙によって歯肉の黒ずみが起こる場合もあります。
口腔がん
口腔がんは、がん全体の2%の割合ではありますが、喫煙によってリスクが高まります。
がんが発症する場所は、舌・歯肉・頬の粘膜・唇などです。
口腔がんになると粘膜の色が赤や白に変色し、形の変化が起こります。
発症は60代の男性に多く、60%が舌がんです。
喫煙以外では、飲酒や合わない入れ歯や被せ物などによる慢性的な刺激によっても、口腔がんのリスクが高まるといわれています。
タバコと歯周病
歯周病とは、歯を支えている歯槽骨が細菌によって溶けてしまう病気です。
喫煙することで歯周病のかかりやすさは、非喫煙者に比べ3〜4倍になるといわれ、喫煙は歯周病の最大のリスクとなります。
タバコに含まれるニコチンの血管収縮作用によって血流が悪くなり、一酸化炭素によって酸素不足になることで歯肉に栄養が届かなくなります。
さらに、身体の免疫機能が落ちて歯周病が繁殖しやすくなり、タバコに含まれる化学物質が歯周病菌の病原性を上げます。
そのため歯周病の治療をしても喫煙している限りなかなか改善せず、再発しやすいことが特徴です。
他にもインプラント治療の骨の結合の妨げや、抜歯後の傷が治りにくいといった影響もあります。
禁煙の効果
禁煙をすることで歯肉にしっかりと栄養が行き渡るため、歯肉の状態が良くなります。
歯周病治療を行うことで禁煙後、一年ほどで健康な状態になるといわれています。
口臭もなくなり歯肉の黒ずみもゆっくりと改善し、見た目の効果も期待できるのです。
また、がんのリスクも禁煙してから10年後、喫煙者と比べて半分ほどに下がります。
受動喫煙による健康被害の影響も大きいですが、禁煙することで大切な人の健康も守ることができ、禁煙の効果は絶大です。
タバコに含まれるニコチンには強い依存作用があります。
そのため、禁煙をしたくてもなかなかやめられず諦めているといった方も多いのではないでしょうか。
タバコは百害あって一利なしです。
自分の意志だけで禁煙が難しい場合は、禁煙外来を受診してみることをおすすめします。