妊婦さんが歯科医院に行くべき理由

妊娠中は女性ホルモンバランスの影響で、虫歯や歯周病になりやすいといわれています。

食生活の変化や、つわりや体調によってはしっかりと歯磨きしにくい時期もあるかと思います。

そのため口腔内にプラークが溜まりやすくなり、トラブルが起きやすくなるのです。

そして出産後はなかなか歯科医院を受診する時間が取れずに後回しになってしまいがちです。

妊娠性歯肉炎

妊娠中に起こりやすいのは「妊娠性歯肉炎」です。

妊娠5週目頃から歯肉の腫れや出血が見られ、症状は歯肉炎と変わりはありません。

原因は「プレボテラ・インターメディア」という歯周病菌が、女性ホルモンの影響で活発になることで歯肉炎、歯周病が進行しやすくなるのです。

歯肉炎の段階では歯肉のみの炎症ですが、歯周病に移行することで歯を支える骨が溶けてしまいます。

もともと歯肉炎がある方はさらに症状が進行しやすくなり、放っておくと炎症によって早産や低体重児出産リスクが2〜4倍にもなります。

体調が良い時にはしっかりと歯磨きをし、妊娠性歯肉炎を予防するためにも普段からの定期的なメンテナンスが重要です。

このような症状がある場合は、妊娠性の歯肉炎の可能性があります。

歯磨きだけでは全ての汚れを取り除くことはできません。

妊娠性歯肉炎には歯石除去が効果的です。

メンテナンスは妊娠中いつでも行えますので、体調が良い時期に歯科医院を受診しましょう。

妊娠中であることは、必ず歯科医師や歯科衛生士に伝えてください。

体勢が辛い場合は、診療のチェアを寝かせすぎずにメンテナンスすることも可能ですので、ご相談ください。

また、母子手帳には「妊娠中と産後の歯の状態」というページがあります。

メンテナンスの際に母子手帳を持参していただくと、虫歯や歯石の有無など現在の口腔内の状態が記録できます。

妊娠中の治療は安定期が望ましいといわれています。

妊娠初期や後期の場合は、応急処置で対応することが多いです。

歯科治療の麻酔は、通常量であれば問題はありません。

レントゲン撮影についても、放射線は微量ですし腹部に防護エプロンも着用するため安全に撮影できます。

しかし、緊急でない場合は出産後に治療をすることがほとんどです。

抜歯など麻酔の量が通常より多くなる処置や、痛み止めや抗生物質などの投薬が必要なケースは避けます。

生まれたばかりの赤ちゃんには虫歯菌はいません。

なぜなら虫歯は感染症だからです。

両親に虫歯菌が多ければ、赤ちゃんに虫歯菌を感染させる可能性が高くなります。

この虫歯菌は生後19ヶ月から31ヶ月の間に感染しやすいといわれています。

赤ちゃんに虫歯菌を感染させないためには、使用するスプーンやお箸などを共有しないこと、食べ物を噛み与えしないことが重要です。

完全に感染させないようにするのは難しいのが現状ですが、感染率を下げる方法はあります。

それはご両親の虫歯をしっかりと治療し、歯磨きやメンテナンスで口腔内を清潔に保つことです。

ご両親の口腔内が健康であることは、これから生まれてくる赤ちゃんの歯を守ることにもつながるのです。

痛みがある腫れがあるといった場合は、無理をせずに歯科医院を受診しましょう。

ご心配な点は歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。