乳歯から、永久歯に生え変わって、死ぬまで数十年間の間に、
人は虫歯や歯周病で、歯を失ってしまいます。
最近では80歳で自分の歯が残っている本数の平均が約14本というデータが
あります。
そして、80歳で20本以上、自分の歯が残っている人の割合は40%以上です。
しかし、もともと大人の歯の本数は、
上14本、下14本の上下合わせて、28本です。
ということは、平均本数で考えると、本来あった歯の半分は失われてしまったと言う事になります。
残っている歯の本数が多い方が、寿命が長いというデータもあり、歯と健康は切っても切れない関係です。
そして、失われた歯を、そのまま放置しておく事は健康上、良くありません。
なので、どうにかそれを補うために、治療をして、なんとか歯があるような
状態、噛める状態にします。
では、この一度失ってしまった歯は、もう一度再生する事は出来ないのでしょうか?
近年では、「再生医療」という言葉をよく耳にしますが、これは歯にもできる事なのでしょうか。
もし、失った歯を再生して取り戻せるのなら、メリットは沢山あります。
今まで入れ歯を入れていたけど、これから入れ歯をしなくてもよくなる。
それに、事故などで若くして、歯を失ってしまっても、取り戻せるという事です。
さて、そんな夢のような
歯の再生治療について、今回はお話したいと思います。
ところで歯を失った場合、どんな治療があるかご存知でしょうか?
ここでは、歯を失った場合の治療法と、そのメリット・デメリットを
簡単に説明していきます。
まずは
『入れ歯』
これはイメージし易いのではないでしょうか?
入れ歯には
全ての歯が無い場合に装着する「総入れ歯」と
数本の歯が無い場合に装着する「部分入れ歯」の2種類があります。
入れ歯は、取り外し式のものなので、寝るときは外して、起きている間は装着しておきます。
入れ歯の良い点は、
- 保険適応の治療である
- ひとまず、噛めるようになる
では、良く無い点は
- 総入れ歯の場合は特に、装着性が悪く、外れてくる、異物感が否めない
- 部分入れ歯の場合は、クラスプ(歯に引っ掛ける金属)などを、ひっかけている自分の歯に負荷がかかって、健康な歯を痛めてしまう
- 料理の味が分かりづらい
- やはり、噛みづらい
などが挙げられます。
噛みづらいとありますが、入れ歯での噛む力は自分の歯で噛める力の半分から三分の一程度の力と言われています。
また保険適応外の自費の入れ歯もあり、こちらで作製に使う材料などを
変えて、密着性が高く、見た目も綺麗なものを作ることが出来る場合も
あります。
次に、『ブリッジ』
これは、読んで字の如く「橋渡し」している被せ物です
歯の間が1本失われてしまっている場合に、その両隣に被せ物を被せ、
間の歯の無い所にも橋渡ししたダミーの金属をつけ歯があるように見せ、
噛むこともできます。
こちらは、取り外し式ではなく、一度装着したら、自分で外すことはありません。
こちらも良い点は
・保険適応である
・歯があるように見せることが出来、しっかりくっついているので、
自分の歯のように噛める
・取り外ししなくて良いので、ラク
悪い点
・健康な両隣の歯を削らないといけない
・支えになっている両隣の歯への力の負担がかかる
・清潔に保つために、自分での毎日ケアが必要
これは、20代の人でも1本だけ歯を失ってしまったりして、
ブリッジがお口にある人は、多くおられると思います。
入れ歯のように多くの歯を失ってしまっている場合には、
出来ない治療ですが、少しの本数だと、一番オススメされる治療だと
思います。
しかし、こちらも、やはり無い歯の分を補うため、両側の歯に負担をかけてしまうので、長い目で見ると、今度は、その負担をかけられている歯が、
ダメになってしまうかもしれないという事があります。
こう聞いていると、歯を失っての治療で最善の治療が難しく感じられますよね。
次回は歯の再生治療についてお話したいと思います。