虫歯の予防に欠かせないフッ素。
「フッ素入りの歯磨き粉を使っている」「歯科医院でも定期的にフッ素を塗っている」といった方も多いのではないでしょうか?
しかし、具体的にフッ素にはどのような効果があるかご存知の方は少ないのではないでしょうか。
今回は、フッ素の効果について詳しく解説します。
フッ素とは
フッ素はカルシウムと同じようなミネラルの一種で、海水や植物、食物などにも微量に含まれている自然物質です。
成人の場合、2.6g程度のフッ素が体の中に存在していると言われています。
このフッ素は虫歯予防に大変効果的で、過剰に摂取しなければ人体に害はありません。
フッ素の効果
虫歯はミュータンス菌などの虫歯菌が出す酸によって、エナメル質表面のカルシウムやリンが溶かされることによって発生します。
フッ素は歯を強くして虫歯菌の出す酸に溶かされにくくする効果があります。
ハイドロキシアパタイトの結晶性の改善
歯や骨の主成分は『ハイドロキシアパタイト』で構成されています。
フッ素によってハイドロキシアパタイトは『フルオロアパタイト』を生成します。
フルオロアパタイトが生成されるとエナメル質の結晶が整い、虫歯菌の酸に溶かされにくい歯の質になるのです。
再石灰化の促進
歯は常に歯が溶ける脱灰(だっかい)と再石灰化を繰り返しています。
再石灰化とは、酸によって溶かされてしまったカルシウムやリンを修復する働きです。
フッ素によって再石灰化を促進します。
初期虫歯であれば治療せず、フッ素による再石灰化が可能です。
虫歯菌の抑制
フッ素は、歯を強くするだけで歯なく、虫歯菌の働きを弱める働きもあります。
虫歯菌の酸を出す力が弱まり、虫歯になりにくくなります。
フッ素の活用方法
フッ素は毎日のセルフケアに加え、歯科医院で定期的に塗布するのが効果的です。
海外では水道水にフッ素が含まれていたり、薬局で気軽に購入できたりしますが、日本では認められていません。
歯科医院で高濃度フッ素を塗布する
歯科医院で年に数回、定期検診のタイミングでフッ素を塗布しましょう。
歯科医院のフッ素は9,000ppmと高濃度なので、高い虫歯予防効果が期待できます。
パーセントで表すと1000ppmは0.1%となり、フッ素濃度が500ppm高くなるごとに予防効果は6%アップすると言われています。
フッ素入りの歯磨き剤を使用する
現在日本で販売されているフッ素入りの歯磨き剤の上限は1450ppmです。
(パーセントで表すと1000ppmは0.1%、1500ppmは0.15%です)
歯科医院のフッ素よりは低濃度ですが、フッ素入りの歯磨き剤を毎日使用することで、日常的に虫歯予防の効果を高めることが可能です。
2023年、フッ素入り歯磨き剤の推奨濃度と使用量について改定がありました。
- 歯が生えてから2歳:1000ppmを米粒程度
- 3〜5歳:1000ppmを5㎜程度
- 6歳〜成人・高齢者:1500ppmを2㎝程度
改訂前は、6歳未満には1500ppmの歯磨き剤の使用は推奨されていませんでした。
フッ素入り歯磨き剤の推奨濃度が改定されたことで、さらにお子さんの虫歯予防効果が期待できるのではないでしょうか。
フッ素入り洗口液を使用する
あまり知られていないかもしれませんが、フッ素入りの洗口液の使用も効果的です。
毎日法と週一回法の使い方があり、特に虫歯になりやすい4歳〜14歳頃から使用することをおすすめします。
フッ素洗口液の使用方法については、歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。
まとめ
フッ素は歯を強くし、虫歯菌の酸に溶けにくくする働きがあります。
虫歯予防には丁寧なブラッシングやフロスに加え、フッ素の使用が効果的です。
フッ素は歯科医院で塗布する他、毎日の歯磨き剤や洗口液を活用する方法があります。
フッ素は高濃度なほど虫歯の効果が高く、正しく使用すれば人体に害はありません。